一人治療家、あるいは小規模な院が売り上げを伸ばし安定した経営を行うためには、その数字的な部分を把握していくことも、重要課題の一つと言えるでしょう。

そこで今回は、安定した経営を目指していくための基準ともなる指標(数字)についてのお話をしていきたいと思います。

「経営に必要な数字を知る…って、何だか難しそう」

そう感じるかもしれませんが、大丈夫です。

これは足し算、引き算、割り算、掛け算というような、単純な計算でできることです。

経営に必要な3つの指標とは?

ところであなたは
「CV(Conversion/コンバージョン)」
「CPA(Cost Per Action/コストパーアクション)」
「LTV(LifeTimeValue/ライフタイムバリュー)」
という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

初めて聞く、という方もいらっしゃるかと思いますので、まずはそれぞれの用語について簡単に説明しておきます。

1. CV(Conversion/コンバージョン)とは?

ここでのCV(Conversion/コンバージョン)とは、院への新規問い合わせや予約の数のことです。

CV=問い合わせ・予約の数
となります。

単純に数を数えていくだけです。

後述しますが、「問い合わせだけ」というケースもカウントするようにします。

2. CPA(Cost Per Action/コストパーアクション)とは?

ここでのCPA(Cost Per Action/コストパーアクション)とは、一人あたりの顧客獲得単価のことです。
顧客獲得単価とは「新規客を一人獲得するためにかかった費用」のことです。

これは
CPA=広告費÷CV
で算出します。

「広告費をかけていない」という場合は、実質0円ということになります。
(こういったことは、ほとんどないとは思いますが、笑)

「手間」という部分に費用が発生している場合(例えば、集客するためのブログ記事を業者さんに頼んで書いてもらった、など)は、集客にかかった費用と考えて広告費に含めて計算します。

3.LTV(LifeTimeValue/ライフタイムバリュー)とは?

LTV(LifeTimeValue/ライフタイムバリュー)とは、一人当たりの顧客生涯価値のことです。
顧客生涯価値とは「一人あたりのお客様からの売り上げ」のことです。

これは
LTV=施術単価×平均来院数
で算出します。

例えば、総施術数が500回として来院数が100人だとすると、「一人あたりの平均来院数は5回」ということになります。

CV、CPA、LTVはなぜ必要?

これらの計算により算出された数字から現在の経営状況を把握することで、今後の目標や戦略を立てることができるようになります。

このことは、より早く確実に利益を上げていくには必要なことでしょう。

ちなみに、「なかなか結果が出ない」「安定させられない」という方に多いタイプは、こういった数字の部分を「何となく把握する」というスタイルです。

「何となく」では、その結果も「何となく」となってしまいますよね。

しっかりとした結果を出すためにも「しっかり」と計算する、というスタイルを身につけていきましょう!

具体的な算出法は?

理想としては、開業から現在までの全ての期間で算出することです。

ただ、開業して5年、10年…と年数が経っている場合その量は膨大で、とてもじゃないけど無理…という場合もあるかと思います。

そういった場合は、過去1年間分を抽出してみてください。

(ただし、この際には直近の2ヶ月の新規分は除外します。
その理由は、この2ヶ月間は来院して2、3回の人が多いため、実際に算出されるべき平均数値との誤差が生じてしまうためです。)

要は、
ある年度の1月に来た新規客が、その年間に何回来院したか?
その顧客を獲得するためのコストはいくらだったのか?
を調べる、ということです。

計算式で言えば
LTV=「10か月間の新規の人の売上総額÷その期間に来た新規の数」
(バックエンド商品、他サービスなども含む)となります。

これによって一人当たりの売上金額が分かる、というわけです。
多少の誤差はあるかと思いますが、まずは全体像を掴めれば十分でしょう。

利益は3つの関係性で決まる

経営という側面においての目標として、

CV(問い合わせ・予約)を増やし
CPA(広告費などのかかる費用)はできる限り抑え
LTV(売上)を最大化させ

結果、利益が拡大すること…ではないでしょうか。

つまり、「LTV-CPA=利益」となるわけですが、この計算式が示すとおり利益とは「CV、CPA、LTV」の3つの要素のバランスにより成り立つことが分かるかと思います。

そのため、できればCPAは少ないほど良い…と思われがちです。

ですが、かかるコストにだけ目をやっていては、本当の意味での利益が見えなくなってしまいます。

例えば
⑴CPA… 3,000円、LTV…15,000円
⑵CPA…10,000円、LTV…70,000円
というケースがあるとした場合です。

CPAだけで見た場合、⑴のほうが少なくて良いように思います。

ですが、LTVとの関係性を含めて見た場合、⑴の利益は12,000円、⑵の利益は60,000円となり、その差は5倍となります。

ではLTVを重視すると良いか?と言えば、CPAが負担となれば本末転倒…ということになりますね。

つまり、⑴と⑵のどちらが良いということではなく、あなたの現状に合わせたプラン(戦略)で進めていくことが大切になる、ということなのです。

状況を数値化させることが利益向上のカギ

これから経営(利益)を拡大させていくには、今までの「何となく」という部分を具体的にしていくことが大切です。

現状を数値化させることで、利益拡大に必要な事柄も具体的になり、考えやすくなります。

例えば「PPC広告での集客」というケースで考えてみましょう。

仮に、広告により「2件の予約があった」とします。

ただ、
「問い合わせは50件あったんだけど予約は2件」
なのか

「問い合わせもなく2件の予約だけ」
だったのか…。

同じ「予約2件」という成果でも、この意味合いには大きな違いがありますよね?

こういった場合も計算式により視覚化させておけば
「問い合わせから予約の間に問題があるのか?」
あるいは
「そもそもの広告の打ち出し方に問題があるのか?」
という部分を考えられるようになり、その後の展開も大きく変わると思います。

CVの章でお話した「問い合わせだけ」という件数もカウントしておく理由はここにある、というわけです。

マーケティング3つの指標 まとめ

このような計算は本来とても複雑で細かいものなのですが、まずは今回お伝えした程度から始めていただければ十分です。
大きな流れや全体像を把握していく感じで取り組んでもらえれば良いかな、と思います。

安定した経営を目指すためにも、ぜひ、

  1. CV(コンバージョン)=問い合わせ・予約数
  2. CPA(コストパーアクション)=一人あたりの顧客獲得単価=広告費÷CV
  3. LTV(ライフタイムバリュー)=顧客生涯価値=施術単価×平均来院数

この計算式で、ご自身の数字と向き合ってみてください!

最後までお読みいただきありがとうございました。