激戦の続く治療業界において、この先、一人治療家が集客をアップさせていくためには、技術の向上はもとより、経営面での効率化を図ることも大切です。
経営面で成果を出し続けるには、治療業界の特有の戦略や戦術といった経営の知識が必要です。
また、その要となるのは戦略であるということは以前にもお伝えしたとおりです。
(戦略と戦術について詳しくはこちらの記事をご参照ください⇒『【集客アップの心得】一人治療家に必要な戦略と戦術の基本を伝授します!』)
そこで今回は、一人治療家(小規模院)の未来を見据えた経営の要とも言える、「戦略」についてお話したいと思います。
と言っても私が勝手に定義付けしたものなのでその点を前提に参考にしてください。
目次
治療業界の2つの戦略
治療業界の戦略として 「面戦略」「点戦略」と大きく分けると2つの戦略があります
それぞれの特徴を簡単に説明すると、
- 『面戦略』はオールマイティ型、地域密着型
- 『点戦略』はターゲットを絞る、患者焦点型(専門特化)
このようになります。
このどちらを選ぶか?によって、経営に関する今後の展開が大きく変わってきます。
1.面戦略
主に店舗の近隣の方を中心に施術の全般を幅広く行っていく経営スタイル。
つまり「主に近所の方が気軽に通う」という戦略です。ほとんどの治療院がこのスタイルです。
2.点戦略
「頭痛専門」「自律神経系の専門」というように症状に焦点を当てて専門特化させます。
お客様の層を絞った「患者焦点型」の経営スタイルです。
つまり「長年患っている症状を改善したいと思う方が、住む地域に関係なく通う」という戦略です。
と、このような感じになるでしょうか。実際に通う方は近隣以外のお客さんの割合が面戦略より高くなります。
面戦略と点戦略の特徴を比較
それでは次に、面戦略と点戦略のそれぞれの特徴を比較して見ていきましょう(目安です)
面戦略 | 点戦略 | |
---|---|---|
ライバル | 多い | 少ない |
新規数 | 多い | 少ない |
施術単価 | 低い | 高い |
リピート | 低い | 高い |
CPA(顧客獲得単価) | 低い | *高い |
LTV(生涯単価) | *低いor高い | *低いor高い |
展開スピード | 早い | *遅い |
症状難易度 | 普通 | 高い |
マーケティング難易度 | 低い | 高い |
ライフサイクル | 成熟 | *成長 |
いかがでしょうか?
この表で見る限り、面戦略と点戦略は一長一短…という感じですね。
面戦略は、業界的に成熟期となるため、一気に成果を上げていくことは難しくなるものの、全体的なリスクもやや低めです。
点戦略は、成果を一気に上げて行ける可能性が高いものの、マーケティングや患者さんの症状の難易度も高く、また手間や広告費が多くかかるといったリスクもあります。
この他、表の*印については以下に補足をしておきます。
- CPAの点戦略は「高い」としてありますが、例えば競合の少ない市場に参入した場合はかかる費用が低くなることもあります。
- LTVは双方ともに低いor高いとなっていますが、これはあなたのやり方次第で変動するためです。
- 展開スピードの点戦略は、点戦略におけるマーケティングが難しい分やや展開が遅くなるものの、打ち出す内容がヒットすれば、高い成果が期待できます。
- ライフサイクルの点戦略は「成長」としてありますが、内容によっては「成熟期」あるいは「導入期」となるジャンルもありますので、その場合は成果が出にくくなることもあります。
(※CPA、LTVについて詳しくはこちらの記事をご参照ください⇒『整体院の安定した経営に必要なマーケティング3つの指標』)
(※ライフサイクルについて詳しくはこちらの記事をご参照ください⇒『検索キーワードから丸わかり!治療業界の経営で勝つ!ライフサイクルの仕組み』)
どちらでいくか?その戦略を選ぶ際の目安
面戦略と点戦略。
このどちらが「良い・悪い」ということはありません。
それ故に、「どちらが良いか…」と迷われる方もいらっしゃることと思いますので、下記は一応の目安です。
面戦略をおすすめする人
- 初心者(開業初期)
- 広告費をかけたくない(月3万程度まで)
- 地域のライバルが少ない(弱い)
- すでにその地域で圧倒的(又はそれなりの)実績がある
点戦略をおすすめする人
- 特化する分野においての実績(証拠)がある
- その分野での腕に自信がある
- 地域のライバルが多い(強い)
面戦略は、「経営」における難易度が低めです。開業初期の方や経費がかけられない、リスクを少なくしたいという方にはお勧めかもしれません。徐々に経営を安定させていく、という考え方に向く戦略です。
点戦略は、この戦略で成功していくには「実績」などの条件が必要です。総体的に難易度が高くなります。
なぜかというと、昨今の業界事情から見ると「専門」を掲げる院がたくさん増えてきたからです。
こちらは、ある程度経営を進めてこられた方に向く戦略となるかもしれません。
戦略から見た治療業界の過去と未来
数年前には、「○○専門」といった特化型の経営は珍しかったものです。
とりあえず「専門」と掲げれば、ある程度の集客が見込めるという時代もありました。
ですが、今は専門特化する院も増え、それに対する実績(証拠)がないと、なかなか集客も難しくなってきている…というのが正直なところです。
とは言え、集客を上げて成功していくためには、知恵を絞り策を講じていかなければいけません。
そこで例えば、「ホームページでの集客をあげよう!」と思うのであれば、ホームページも一つとは言わず、2つ、3つと持つのです。
これからは一人経営であっても、2つ、3つ…とホームページを持つ時代です。
それぞれに打ち出す切り口を変え間口を広げ、複数の間口からの集客を考える。
あるいは、その中で反応の良かったジャンルを専門特化させていく…などなど。
多く持てば良いということでもありませんが、これからの時代はそういった戦略も必要でしょう。
「面戦略」VS「点戦略」 まとめ
面戦略と点戦略。
このどちらで進めていくか?ということは、あなたの状況や条件など、様々な要因から考えていかなければなりません。
開業当初は費用や手間を抑えるために面戦略で進め、ある程度の段階になってから、次の展開として点戦略で進める、というのも良いでしょう。
戦略は、あなたの持つあらゆる部分を総合して立てていくものです。
今回の内容がその一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。