「柔道整復師(柔整)」の国家資格を取得してはじめて開業できるのが整骨院です。

高齢化社会になり、今後ますます需要が高まっていく健康産業において、身体的な不調を訴える人たちの治療を仕事にしたいと考える人は多いでしょう。

しかし整骨院を開業するためにはどのような手順を踏めばいいのか悩んでしまいますよね。

整骨院の仕事内容と、開業に必要な手順を解説していきます。

整骨院とは

施術風景

「整骨院」という看板を掲げた店舗を見たことはないでしょうか?

整骨院とは、マッサージ、ストレッチなどの手技、そして電気治療やテーピングなどの技術を使って体の歪みを整えて凝り固まった筋肉をほぐし、自然治癒力を高めていく治療院のことで、整体院との違いは「柔道整復師」の国家資格をもった施術者の施術を、保険を適用した安価な値段で受けられることです。

整骨院を開業できるのは「柔道整復師」の国家資格を保有している治療家だけですが、整骨院の正社員・アルバイトとして働く際には国家資格を保有している必要はなく、院長(経営者)の指導のもとでお客さんの施術をすることができます。

整骨院は健康保険が適用でき、数百円〜という安い費用で治療を提供できるのが特徴です。

健康保険が適用される症状は骨折、不全骨折(ひび)、脱臼、打撲、捻挫の5つの怪我のみで、肩こりなどの筋肉疲労や腰痛の治療では適用されません。

骨折、ひび、脱臼を治療する場所としては、病院の「整形外科」があります。整骨院と整形外科では「レントゲン検査の有無」と「薬の処方」に違いがあり、整骨院ではいずれも提供することができませんが、身体機能を回復したいお客さんのリハビリすることができます。

整骨院で施術するのは高齢者が中心ですが、他にもデスクワークによる肩こりや腰痛に悩む女性、体を酷使するアスリートの男性、そして一生懸命クラブ活動をする中学生・高校生など、幅広いお客さんを担当することになります。

ときには整骨院の先生として、ときにはスポーツトレーナーとして、またあるときには人生の先輩として治療にあたってお客さんに喜んでもらうことができます。

 

整骨院開業について学ぶ方法

柔道整復師の国家資格を取得して、将来的に開業することを目標にしたとしても、具体的な手順を知らなければ実現できません。開業するためのノウハウを学ぶための方法はいくつかあります。

同業者の知人・先輩に聞く

先輩

まずは同業者の知人・先輩に話を聞くことが大切です。

柔道整復師の国家資格を取得するためには、専門学校に4年間通学することになり、同級生や先輩とのつながりができます。

卒業後の進路としては、スタッフとして整骨院に就職する人、開業を見据えた経験を積むために整骨院で働く人、いきなり独立開業する人に分かれますが、「実際に開業した人」に話を聞くことで、開業するにあたって苦労したこと、知識不足で困ったこと、開業してからぶち当たった壁、開業する前にやっておいた方がいいことを事細かに聞くことは有益な情報になりますので、同級生と先輩のネットワークは大切にしておきましょう。

 

独学で勉強する

本で勉強

独学で勉強することもできます。

整骨院経営バイブル ―現役柔道整復師が書いた儲かる繁盛院のつくり方」という書籍では、整骨院を開業したあとの経営のポイントや、柔道整復師の資格を取得したばかりの人、開業を見据えて整骨院で修行している人向けに、失敗しない開業指南をしてくれます。

また集客を目的として、ブログやFacebookを積極的に活用して、治療の様子を公開するなど、自らのビジョン・成功談・失敗談を語る院長も増えていますので、インターネットから情報を取得することもできます。

DVDで勉強する方法は非効率的

他にも施術内容を収録したDVDを活用する方法もありますが、独学で勉強すると知識が断片的になってしまうため、時間をかけた割には役立つ知識を得られたかどうかが分かりにくくなりますので、開業経験者に1から10まで順番に聞いてみる方が効率的です。

 

整骨院開業するためのセミナー(コンサル)を受ける

セミナー

インターネットで「整骨院 開業 セミナー」などというキーワードで検索したり、整骨院仲間がいる方は紹介などの方法で整骨院を開業するためのセミナー(コンサル)を受けるという方法もあります。

整骨院を開業するためのセミナーは無料でも開催されていることが多く、「整骨院開業後の経営コンサルティング」が積極的な開業支援をしていることから、セミナーは頻繁に開催されています。

セミナーでは、資金運用の方法や集客の方法など、90分程度で基本的な情報を得ることができ、同じように開業についての悩みを持つ参加者が多いため、新しい人脈も作ることもできます。

セミナーで学べることの例

  • 先々のことを考慮した開業方法
  • 今の時代に合った集客方法
  • 開業後に考えうるリスクについて
  • お金をガシガシ稼いでいくためのノウハウ

 

整骨院開業に必要な手続きや書類

できるだけスムーズに開業するために優先しておきたいことは、各機関に提出する届出書類です。どのような目的で、どの機関に、何の書類を、いつまでに提出すればいいのかを一覧でまとめてみました。

必要な手続き 提出先 提出期限
提出期限 保健所 開業後10日以内
共済番号 国家公務員共済組合連盟 毎月25日受理締切、翌1日付番
地方公務員共済組合協議会 毎月10、20、末日締切、翌日付番
防衛省番号 防衛省人事教育局衛生課 毎月20日締切、翌月1日付番
受領委任契約 地方厚生局 開設後(保健所で受理後)提出、提出日より付番
労災保険 労働基準局 開業後すぐ

施術所開設届

施術所開設届とは、整骨院を開業したことを報告する書類を各都道府県の保健所に提出して承認を受けるもので、必要な書類はいくつかあります。

 

1.施術所開設届

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施術所開設届とは、保健所に整骨院の開設を承認してもらうための書類で、届出をしないと保険の請求ができません。最寄りの保健所に問い合わせて施術所開設届をもらい、記入して届出をする必要があります。

整骨院を開業する場合には、「施術所の開設」「開設した施術所の届出事項の変更」「施術所の廃止・休止・再開」「出張施術業の開始・廃止」「滞在施術業」について届出をする必要があり、書類を提出したあとは内容に基づいて現地調査を行い、承認される流れとなります。

提出に必要な書類は以下のとおりです。

  • 施術所開設届
  • 柔道整復師免許(原本と写し)
  • 施術所の平面図
  • 最寄り駅、バス停からの案内地図(状況により店舗賃貸契約書の写し)
  • 定款、登記簿謄本(法人の場合)
  • 施術所が賃貸物件の場合は、賃貸契約書のコピー

施術所開設届を提出する際の注意点は、「提出期限は開業後10日以内」と「開業の準備ができていないと提出できない」という点です。施術所開設届は「施術所を開設しました」と届ける書類なので、開設後はすぐに提出する必要があり、開業の準備ができていないと提出することができません。整骨院がオープンしたら速やかに施術所開設届を提出しましょう。

できるだけ早く施術所開設届を提出して承認されなければ、お客さんが来院しているにも関わらず、保険が請求できないという事態になってしまいます。
整骨院を開業した日を「プレオープン日」として、その後の2週間程度で施術所開設届の提出と現地調査を終え、承認されてから本オープンにするなど、余裕を持ったスケジュールで開業を進めていきましょう。

施術所開設届を提出すると、整骨院の建物が平面図の通りか、ベッドや消毒設備が配置されているか、という保健所による立ち会い検査が行われる場合があります。すでに整骨院をオープンしている場合は、立ち会い検査はお昼休みの時間などの都合の良い時間に合わせてくれます。東京や大阪などの大都市では、施術所数があまりにも多いため、保健所による立ち会い検査(実地検査)は必ず行われるものではありません。

提出後は、提出した施術所開設届の記入内容だけを審査して承認し、郵送で施術所開設届の控えが送られてくる地域や、自ら保健所に取りに行く地域もありますので、最寄りの保健所に問い合わせをして届出後の流れを確認しておくと良いでしょう。

 

2.地方厚生局への提出書類

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整骨院でお客さんを施術したあとに保険請求をすることになりますが、その際には契約記号番号が必要となり、保険給付の受け取りを事業者に委任することによって、利用者が事業者に対して自己負担額のみを支払うようにする「受領委任制度」が関係してきます。

つまり整骨院が保険請求業務を代行する契約のことで、そのためには地方厚生局へ届出をする必要があります。

提出に必要な書類は、各都道府県によって異なりますが、近畿厚生局の例を調べてみました。

  • 確約書(様式第1号)
  • 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱に係る届け出・申し出
  • 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る届け出・申し出(同意書)
  • 勤務形態確認票(複数管理又は複数勤務の場合)
  • 施術所開設届又は変更届の写し
  • 免許証の写し(勤務柔整師を含む)
  • 欠格事由非該当者申出書

保険請求に関わる届出になりますので、施術所開設届の写しが届いたあと、できるだけ早く提出しましょう。

 

3.共済番号を取得するための手続き

地方厚生局への届け出を済ませて、「受領委任契約」が完了すると各都道府県の知事に承認を得たことを示す「契約記号番号」が取得できますが、受領委任契約には実は「共済組合」が含まれておりません。

ちなみに共済組合とは、公務員などが加入している保険のことで、一般的なものとは扱いが違うため、共済組合にも受領委任を申請する必要があります。

「社団法人共済組合連盟」と「社団法人地方公務員共済組合協議会」への届出が必要です。

必要な書類は以下の通りです。

  • 受領委任の取り扱いに係わる申請書(様式第1号)
  • 尊守事項確約書(様式第2号)
  • ご連絡(申請理由の申し出)
  • 柔道整復師の免許証の写し

国家公務員の保険者は、共済組合連盟へ申請することになります。

社団法人共済組合連盟
〒102-0071
東京都千代田区富士見1-5-5 共済ビル
電話番号:03-3261-0073

社団法人共済組合連盟に申請することで「共済連盟承諾番号」が取得できます。

その後、共済組合に連絡をして申請書をもらい、柔道整復師の免許証の写しを添付します。

地方公務員関係の保険は、地方公務員共済組合協議会へ申請します。

社団法人地方公務員共済組合協議会
〒107-0052
東京都港区赤坂8-5-26 赤坂DSビル5F
電話番号:03-3470-9722

社団法人地方公務員共済組合協議会に申請することで「地方共済協議会承諾番号」が取得でき、共済組合への申請はこれで完了です。

保険請求に関わる届出になりますので、「受領委任契約」と並行して、できるだけ早く申請を行いましょう。

 

4.防衛省番号を取得するための手続き

自衛官関係のお客さんが通院した場合の保険を請求するには、防衛省に届け出を行って「防衛省番号」を取得する必要があります。

防衛省 人事教育局衛生官付
〒162-8801
東京都新宿区市谷本村町5-1
電話番号:03-3268-3111

必要な書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 確約書
  • 柔道整復師の免許証の写し

保険請求に関わる届出になりますので、「受領委任契約」「共済組合への届出」と並行して、できるだけ早く申請を行いましょう。

 

5.労災保険について

労災認定を受けた人を施術するためには、労災保険の指定機関として承認されることが必要で、そのためには労働基準局に申請を行うことになります。

必要な書類は以下の通りです。

  • 申出書
  • 委任者選任届
  • 受任者選任届
  • 確約書
  • 指定機関登録報告書
  • 施術所開設届
  • 柔道整復師免許
  • 施術所の平面図
  • 施術所付近の見取り図

書類に不備がなければ、提出後1〜3ヶ月後に承認されて通知が届きます。労災保険もできるだけ早く申請しておきましょう。

 

整骨院開業に必要な資金

費用

どのような業態であっても独立するには資金が必要です。

とくに整骨院では、店舗の改装をして、オープンまでにベッドや電気治療器を調達するには多額の資金が必要になります。

一般的にどれくらいの資金がかかるのか、整骨院を開業するために最低限必要な「18坪」の面積で、東京都内の例を調べてみました。
(*敷金、礼金、家賃は居住地・立地によって変動します。)

 

開業に必要な資金の例

物件取得費 敷金(家賃の3ヶ月分) 36万円
礼金 64万円
初月家賃 12万円
仲介手数料 12万円
火災保険等の雑費 2.8万円
合計 126.8万円
内装工事費 解体仮設工事費 14万円
間仕切り、看板工事など 32万円
左官、タイル、塗装など 16万円
給排水設備費 14万円
電気工事費 22万円
空調工事費 42万円
現場管理、デザイン設計費 18万円
合計 158万円
専門機材費 低周波治療器(中古) 25.8万円
干渉波治療器 31.2万円
ローラーベッド 76万円
施術用ベッド(3台) 12.1万円
Dr.メドマー 14.5万円
医療用固定機器 3.8万円
合計 163.4万円
その他費用 備品消耗品費 48.7万円
販売促進費 20.8万円
その他 5.7万円
合計 75.2万円
総合計 516万円

18坪の整骨院を開業するために、合計516万円の費用がかかっています。

 

資金調達方法

整骨院を開業するには多額の費用が必要ですが、これだけの資金を貯金(自己資金)でまかなえる人は少ないと思います。

どのようにして資金を調達すればいいのでしょうか。

 

親族からの贈与・借入金

両親

まずは資金に余裕のある親族や、応援してくれる家族からの支援を受けることを考えたいところですよね。

銀行から資金を借りる場合には利息がかかりますが、親族であれば要求されることはありませんし、資金繰りに苦労しているときは支払日を延期してもらうこともできるでしょう。身近な人だからこその融通をきかせてもらえるのは、とてもありがたいことです。

しかも開業前や直後に銀行から資金を借りようとしても、信用(与信枠)がないために、綿密な資金返済計画を提出したとしても融資を受けられないことがほとんどで、これは会社設立間もない企業も同じことです。

独立開業するときには、まず親族からの資金援助を第一に考えたいところです。

ただし贈与を受ける場合には、年間110万円を超えると贈与税がかかりますので、税理士と相談してください。

そして「借入金」の名目で資金援助してもらったにも関わらず、返済履歴が確認できない場合には「贈与」と見なされて税金がかかりますので、契約書と資金返済計画表を取り交わして、きっちりと返済を行っていきましょう。

 

日本政策金融公庫

役所

日本政策金融公庫とは、国民の生活を向上させるための融資を行う政府系金融機関です。個人事業主、個人商店、起業して間もない会社、中小企業などは資金力がなく、しかも信用(与信枠)がないために金融機関から資金調達をすることも困難ですが、日本政策金融公庫には「新規開業ローン」という制度があります。

返済期間が15年以内(特に必要な場合20年以内)の設備資金と、5年以内(特に必要な場合7年以内)の運転資金の支援を受けることができます。

申請できる資格のある人は以下の通りです。

  • 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
    (1)現在お勤めの企業に継続して6年以上お勤めの方
    (2)現在お勤めの企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
  • 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  • 技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
  • 雇用の創出を伴う事業を始める方
  • 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方
  • 地域創業促進支援事業による支援を受けて事業を始める方
  • 公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
  • 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
  • 1~8のいずれかを満たして事業を始めた方で事業開始後おおむね7年以内の方

限度額は7,200万円となっており、事業計画書と返済能力によって融資額・利率が審査されます。

場合によって保証人と担保を必要とする場合もありますが、出資者の後ろ盾がなく、たった一人で独立していく人にとっては心強い存在と言えるでしょう。

グラフ

事業計画書はインターネットや書籍でテンプレートが配布されており、効率的に作成することもできますが、決して見栄えのいい計画書を作ることが目的ではないことを覚えておきましょう。

融資をしてもらう団体を納得させる材料とビジョンを盛り込むことが必要で、事業を運営していくための戦略までしっかりと明記されている必要があります。

「ビジョン」とは、事業を運営して成長させていくための指針とともに、「2016年までに2店舗目をオープンする」などの計画を具体的に明記することで、「戦略」とは、やる気と熱量を示すものではなく、計画を達成するための「集患方法」などが具体的に明記することが大切です。

企業が銀行から融資を受けるときの手順も同様で、プロの金融マンを相手に事業計画書を提出して、ビジョン、戦略、採用計画、成功率に至るまでを評価されます。

不備があれば指摘を受けて修正を重ね、最終的に納得させることができれば融資を勝ち取ることができますので、将来的に銀行から融資を受けることも想定して、日本政策金融公庫の審査を受けるときに勉強しておきましょう。

事業計画書の書き方を書籍で勉強することもできますが、経験者の教えが一番なので、開業後の融資に成功した先輩にしっかりと教えてもらいましょう。

 

市区町村の制度融資

制度融資とは、都道府県や市町村などの地方自治体が、創業・開業を目指す人、中小企業を経営する人へのサポートを目的として融資を行う制度です。

地方自治体から委任を受けた銀行が窓口となって、自治体から預かった預託金から融資を行うことになります。

一般的には個人事業主や中小零細企業が銀行から融資を受けることは困難ですが、この制度を利用すれば有利な条件で借り入れできる可能性があるので、最寄りの銀行に問い合わせをしてみましょう。

 

助成金を使ってみる

整骨院の開業資金には「助成金」を使う手段があります。
助成金とは、厚生労働省などの機関が補助金として必要な要件を満たせば、返済不要で支援してくれるお金のことです。

助成金には様々な種類がありますが、整骨院の開業時、開業後に使える助成金としては、例えば以下のようなものがあります。

トライアル雇用奨励金
職業経験、技能、知識等の面から安定的な就職が困難な求職者を雇用すると、一人当たり最大4万円の助成金が支給されます。

キャリア形成促進助成金
職業訓練・人材育成のための経費などに利用できる助成金が支給されます。

特定求職者雇用開発助成金
高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介から雇用すると、最大80万円の助成金が支給されます。

助成金は返済不要なメリットがある一方で、手続きなどが多いというデメリットがあるので、税理士や社労士などの専門家に相談すると良いでしょう。

 

民間金融機関の開業ローン

お金いざ整骨院を開業するときには、すぐに資金が必要になるときがあります。そのようなときには審査期間が短い民間金融機関の「開業ローン」を利用すると便利です。

しかし、日本政策金融公庫に比べて返済期間が短く、しかも金利が高いことが一般的ですので、最寄りの銀行に問い合わせをしてみましょう。

 

運営費用はどれくらいかかるか

開業費用の他に、整骨院を運営していくための費用も気になるところですよね。前述した18坪の整骨院を参考にして、実際に費用を調べてみました。

家賃 12万円
水道光熱費 10万円
人件費:オーナー 50万円
スタッフ(正社員:2人) 50万円
スタッフ(アルバイト:1人) 10万円
備品消耗品費 5万円
販売促進費 5万円
借入金の返済 15万円
合計 157万円

店舗の規模や、スタッフの人数によって変動しますが、整骨院を一ヶ月運営するだけでも157万円の費用がかかり、この費用を売上が下回れば赤字、上回れば黒字になります。

整骨院で利益を出していく方法は、売上を上げるか、経費を削減するかの2パターンしかありません。売上を上げるためには、サービスの質を向上させてリピーターを増やしていくことと同時に、広告にお金をかけて積極的に認知度を広めていく必要があります。

現代はインターネットが発達していますので、ブログやFacebookなどのSNSを活用して告知をしていくことも選択肢の一つです。

その一方で経費を削減するためには、より安い仕入れを心がけることが大切です。

 

整骨院を開業して儲かるのか

これから独立していく人にとっては「整骨院を開業して儲かるのか?」が気になるところですよね。

お金だけのために開業するわけではありませんが、それでも赤字を垂れ流して経営が立ち行かなくなっては開業した意味がなくなるからです。

どのような点に注意して整骨院を経営すればいいのでしょうか。

 

自社

お店

まずはサービスの質を高めることが何よりも大切です。

厚生労働省が発表している「全国の施術所数」は増加傾向にあります。お客さんはいつも自分にとって最高の整骨院を求めており、最高の施術を受けることができればリピーターになってくれるだけではなく、高齢者の知人に勧めるなど、口コミの威力は絶大です。

逆に言えば、オープン当初に訪れたお客さんを満足させることができなかった場合、「あの新しい整骨院はイマイチだったよ」という噂が一気に広まってしまい、経営にとって死活問題となります。

施術スキルを向上させ、スタッフの指導もしっかりと行いながら、お客さんを満足させる空間を作り上げていきましょう。

 

競合

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全国の施術所数は増加傾向にあり、競争が激しくなっています。

お客さんのなかには満足できる整骨院を求めて、近所に存在する店舗をすべて制覇したという方もいますので、そのようなお客さんには院長自ら施術を行い、競合の情報を得ていくことが大切です。

とくに高齢者の方は、施術で体に触れると打ち解けてくれますので、気軽に会話をしながら、他の整骨院で満足できなかったポイントや、なぜがっかりしたのかを聞き出すことで、競合から一歩リードするためのヒントが見えてきます。

 

お客さん

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全国の施術所数が増加傾向にあるということは、それだけ整体師という仕事のニーズが増えているということを意味します。

総務省が発表した2014年の統計では、65歳以上の高齢者は3,296万人いるとされており、2025年には3,657万人に達すると見込まれており、体の不調を訴える人は今後ますます増えていく傾向にあります。

もはや一般的なマッサージやストレッチだけで差別化することは難しいため、「特別治療」のコースを設定する、もしくはアロマが香るエステサロンのような空間作りをするなど、自分の整骨院にしかない強みを提供していく必要があるでしょう。

 

開業後の仕事内容について

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整骨院を開業してからやっていく仕事は、まず院内でお客さんを施術することに最大限の力を注ぐことが必要ですが、「整体師スクールの運営」「後輩たちの開業支援」「開業後の経営コンサルタント」をすることで利益をあげる方法もあります。

厚生労働省が発表している平成20〜26年のデータを調べてみると、柔道整復師の就業者数は、毎年5〜10%の上昇を続けており、平成26年には63,873人となっています。

高齢化社会の未来を見据え、柔道整復師として開業を目指す人が増えると、開業支援や経営コンサルタントで後進の指導をすることも1つのビジネスになります。

また、柔道整復師の国家資格を取得するつもりはないけれど、整体師として治療院で働きたいと考えている人のために整体スクールを開校して、授業料をとりながら手技の指導に当たることも重要な収入源になるでしょう。