「整体師として開業するためには、施術の知識・技術があるのは当然で、マーケティングを考えないと成功できません!」
なんてことをよく聞きます。私も、もちろんマーケティングは大事だと思います。なので、このHPではマーケティングに関することを発信し続けてきました。
ただ、マーケティングがどんなに上手くても、お客さんを治せなかったらそもそも本末転倒です。私はマーケティングも施術技術も、どちらも並行して勉強していく必要があると思います。
ですので今回は、開業を志す整体師の先生が読んでおくべき専門書籍をご紹介させていただきます。
目次
- 1 整体師が開業する前に読んでおくべき本10選
- 2 整体師が開業する前に読んでおくべき本 概論・基礎編
- 3 整体師が開業する前に読んでおくべき本 臨床で使える専門知識・技術編
- 3.1 臨床で使える専門知識編1 関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹(下肢)
- 3.2 臨床で使える専門知識編2 運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学
- 3.3 臨床で使える専門知識編3 結果の出せる整形外科理学療法−運動連鎖から全身をみる
- 3.4 臨床で使える専門知識編4 運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導
- 3.5 臨床で使える専門知識編5 改訂版「スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション」
- 3.6 臨床で使える専門知識編6 筋膜マニピュレーション 理論編筋骨格系疼痛治療
- 3.7 臨床で使える専門知識編7 肩関節拘縮の評価と運動療法
- 4 まとめ
整体師が開業する前に読んでおくべき本10選
私はこれまで100冊以上の専門書籍を読んできたと思います。
その中でどんな治療手技を使っている人にも、しっかり役に立つであろう本を今回は10冊ご紹介させていただきます。
若手の先生はもちろん新たな知識として吸収してもらえればいいですし、すでに特定の手技療法に突き進んでいるベテランの先生にも、初心に戻って読んでもらいたい本たちです。
「概論・基礎編」と「臨床で使える専門知識技術編」に分けてご紹介していきます。
整体師が開業する前に読んでおくべき本 概論・基礎編
まずは専門書の中でも、ある特定の疾患や関節について書いているものではなく、人の体の根本の原理原則について書かれている良書をご紹介していきます。
- プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版
- 筋骨格系のキネシオロジー
- 運動療法のための機能解剖学的触診技術 上肢・下肢・体幹
概論・基礎編1 プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版
著者名:坂井 建雄
書籍名:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版
出版社名: 医学書院
出版年月:2016/12/26
何版:第3版
数ある解剖学書の中でも、最も見やすいのがこの「プロメテウス」です。
凄くメジャーな専門書です。カラーで非常に細かく解剖を学ぶことができます。
今は解剖アプリなども存在しますが、やはり専門書には敵いません。
解剖学は基本中の基本なので、どこのページに何が載っているのか、暗記するぐらい読むことをオススメします。
概論・基礎編2 筋骨格系のキネシオロジー
著者名:Donald A.Neumann
書籍名:筋骨格系のキネシオロジー―カラー版
出版社名: 医歯薬出版
出版年月:2012/3/1
何版:第2版
この「筋骨格系のキネシオロジー」は、運動学のバイブルと言っていい本です。
医療系の大学や専門学校に通われた方は、基礎運動学の教科書を授業でも多く使用されたと思いますが、実際に臨床に出て役立つ運動学といえばこれです。
最初のうちは難しいかもしれませんが、解剖学と一緒に勉強していくことで理解が段々と深まっていきます。
こちらも全ての基礎になる部分ですので、どこに何が書いてあるか把握しておき、わからないことが見つかった時に調べたりすることをオススメします。
概論・基礎編3 運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹・(上肢)
著者名:林典雄
書籍名:運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹
出版社名: メジカルビュー社
出版年月:2012/3/5
何版:改訂第2版
この本は、カラーで非常に見やすくなっているのが特徴です。なので筋肉や骨のイメージを頭の中で作りやすくなります。
どんなに知識がついても触診ができないとはじまりません。
エコーの所見なども載っていますし、触診のポイントや臨床で必要な知識も所々交えて説明されているため、非常に使い勝手がいいです。
触診本で迷ったらまずこの本でいいと思います。
今回は下肢・体感編ですが、「上肢編」も同時期に発売されていますので、合わせて購入されることをオススメします。
整体師が開業する前に読んでおくべき本 臨床で使える専門知識・技術編
ここからは実際に臨床の現場で使える技術が具体的に書いてある本をご紹介していきます。
- 関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹・下肢
- 運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学
- 結果の出せる整形外科理学療法 運動連鎖から全身をみる
- 運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導
- 改訂版「スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション」
- 筋膜マニピュレーション 理論編・実践編筋骨格系疼痛治療
- 肩関節拘縮の評価と運動療法
臨床で使える専門知識編1 関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹(下肢)
著者名:整形外科リハビリテーション学会
書籍名:関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹
出版社名: メジカルビュー社
出版年月:2014/3/14
何版:改訂第2版
様々な整形外科疾患の局所の病態が細かな機能解剖とともに書かれています。
この本一冊で、ほとんどの整形外科疾患の病態と局所のことがしっかりと学べます。
疾患ごとに分かれて書かれているため、急に診た事のない疾患を担当する事になった時にかなり助けられたのを覚えています。
- 上腕骨近位端粉砕骨折に対する人工骨頭置換術後の運動療法
- 胸郭出口症候群牽引型に対する運動療法
- 内側型投球障害肘に対する運動療法
- 浅指屈筋腱弓において生じた正中神経障害に対する運動療法
こんな感じでよく目にする疾患から、かなり珍しい疾患まで、症状ごとに解剖学・運動学の解説、ケーススタディ、アプローチ法などが記載されています。
見たことのない疾患が来ても対応できるように、職場に置いておくことをオススメします。
今回は上肢・体幹編をご紹介しましたが、下肢編も一緒に発売されていますので、そちらも合わせてご購入されることをオススメします。
臨床で使える専門知識編2 運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学
著者名:工藤慎太郎
書籍名:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学
出版社名: 医学書院
出版年月:2012/5/18
こちらも各疾患に対して、解剖学をベースに病態を説明し、アプローチ法まで書かれています。
専門知識編1で紹介した「関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹」に比べると、
- 足関節捻挫
- 半月板損傷
- 上腕骨外側上顆炎
- 肩関節周囲炎
などの割とよくみるメジャーな疾患を中心に書かれています。
誰もが一度は担当したことのあるような疾患について書かれているので、非常に読みやすくて面白いです。
臨床で使える専門知識編3 結果の出せる整形外科理学療法−運動連鎖から全身をみる
こちらは、病態というよりは運動連鎖を中心に書かれています。
この本を読むと、なぜ膝の痛みを脊柱や胸郭の施術だけで治せるのかがわかります。
このような話が書かれています。この本を読むと、翌日からの臨床がめちゃくちゃ楽しくなります。
専門知識編1・2で紹介した局所の病態の知識を知った上で、この本のような考え方を取り入れていくと鬼に金棒です。
臨床で使える専門知識編4 運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導
著者名:Shirley A.Sahrmann
書籍名:運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導
出版社名: 医歯薬出版
出版年月:2005/4/1
整体師は、姿勢やアライメントのチェックを毎日のように行います。
ですがこれ、結構定性的な評価になってしまっていませんか?
この本では、姿勢やアライメントを定量的に評価・治療する方法が書かれています。
各部位の運動学も細かく記載されていて、そこから検査方法・運動療法が丁寧に解説されています。
感覚的になってしまいがちな部分も、かなり定量的に体系化された内容が紹介されていますので、再現性が高いです。
運動学をベースとする整体師の方には、必須の1冊だと個人的には感じています。
この本には、「続 運動機能障害症候群のマネジメント頸椎・胸椎・肘・手・膝・足」という続編も出ていますので、こちらも合わせてオススメさせていただきます。
臨床で使える専門知識編5 改訂版「スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション」
著者名:
書籍名:改訂版・スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション
出版社名:運動と医学の出版社
出版年月:2013/11/13
何版:改訂版
こちらの本は、スポーツ分野において手術件数日本一を誇る「関東労災病院」のスタッフにより執筆されています。
多数の養成校で教科書として採用されているので、若い先生は学生時代から持っている本かもしれません。
関東労災病院チームが研究を重ねて作った、「ACL損傷のプロトコル」なども載っており非常に信頼できる本です。
手術後のスポーツ選手などが多く訪れる整体院や、スポーツ選手に今後携わっていきたい整体師さんには必須の1冊です。
臨床で使える専門知識編6 筋膜マニピュレーション 理論編筋骨格系疼痛治療
著者名:竹井 仁
書籍名:筋膜マニピュレーション 理論編筋骨格系疼痛治療
出版社名:医歯薬出版
出版年月:2011/9/1
この「筋膜」という概念は、昔はあまりありませんでしたが、最近のトレンドになりつつありますね。
1989年にイタリアのドクターによって作られた「筋膜マニピュレーション」という治療手技の理論について書かれた本です。日本にこの理論が入ってきてからはまだ10年もたっていません。
前半部分は筋膜の概論が書かれています。
実際にこの治療手技で筋膜を施術するポイントと、東洋医学でいうところの経絡やトリガーポイントとは、6割ぐらい相関性があるそうです。
これを聞くと、昔の中国の人は本当にすごいですよね。驚きました。
ですので、東洋医学を中心に施術を展開されている整体師さんにも、一度は手にとっていただきたい本です。
臨床で使える専門知識編7 肩関節拘縮の評価と運動療法
著者名:赤羽根良和(さとう整形外科病院)
書籍名:肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
出版社名:運動と医学の出版社
出版年月:2013/6/15
最後にご紹介するのは、「拘縮肩」に関する書籍です。
高齢者をたくさんみる整体院の先生は、「拘縮肩」の施術は必須ですよね?
でもなんで拘縮が起きるかちゃんと説明できますか?
この本では、拘縮が起きる原因が生理学をベースに書かれています。
これは肩だけでなく他の関節の拘縮にも応用できるので、高齢者を多くみる先生は必ず知っておく必要がある知識だと私は思います。
そして、その拘縮の原因に対して運動療法でアプローチしていく方法が書かれています。
この手技自体は非常にシンプルで、少し練習すれば誰にでもすぐにできるような内容になっているので、若手の整体師さんには特にオススメです。
まとめ
整体師が開業する前に読んでおくべき本「概論・基礎編」は▼の3つです。
- プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版
- 筋骨格系のキネシオロジー
- 運動療法のための機能解剖学的触診技術 上肢・下肢・体幹
整体師が開業する前に読んでおくべき本 臨床で使える「専門知識・技術編」は▼の7つです。
- 関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹・下肢
- 運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学
- 結果の出せる整形外科理学療法 運動連鎖から全身をみる
- 運動機能障害症候群のマネジメント理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導
- 改訂版「スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション」
- 筋膜マニピュレーション 理論編・実践編筋骨格系疼痛治療
- 肩関節拘縮の評価と運動療法
参考になったでしょうか?
お客さんをしっかり集客できるようになって経営が安定したとしても、知識・技術の向上に関して終わりはありません。
困っているお客さんをより多く救うために、たくさん本を読んで勉強するようにしてください。