セラピストという言葉が少しずつ認知されるようになってきた気がします。しかし、セラピストとは、そもそもどんな仕事をする人なのか。それをしっかりと理解している人はまだまだ少ないように思います。

同時に、整体師はセラピストと言えるのでしょうか。言葉のルーツも辿りながら、セラピストと整体師の本当の意味や仕事内容の違いを詳しく解説していきます。

セラピストとは元々は「therapy(セラピー) 治療をする」人だった

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まず、「セラピスト」という言葉の意味を確認していきましょう。

英語で語尾に-ist (イスト)がつく言葉は全て何かに特化したスキルがある人を指します。

シンプルに英英辞典でtherapy(セラピー)の意味や定義を確認すると次の通りです。

serch-therapy-english
therapy-definitionでトップ表示されるGoogleの翻訳

「セラピー(therapy)」の意味は[名詞](心身の)不調を治すしたり癒す治療となっています。語源はGREEK=ギリシャ語で「therapeuein」というやや長い単語からきていることがわかります。その下に小さく、元々は医療の現場で心身の不調を治すお医者さんのような公使だったという説明があります。

「therapeuein」という言葉が、時代の流れともに短くなり、使われる場所が広がっていったようです。そして、19世紀中頃から現代ラテン語でtherapia(セラピア)「healing (ヒーリング)=治す事・癒す事」という広い意味に変わって、現在の「tharapy(セラピー)」に変化してきたことがわかります。つまり、英語でセラピストという意味は「心身の治療する人」という意味です。

言葉的にはこの様な広い定義もある為か、世の中には星の数ほどの「セラピスト」が存在します。日本では医療系の法律に関して、かなり厳しい規制があります。言葉の使い方や仕事選びは慎重にならなくてはいけないのが現状です。

セラピストは日本の法的に「自由業」です

ちなみに、日本語でのセラピストの意味を見てみるとWeblio職業図鑑ではこのように定義されていました。

meaning-therapist-weblio.jp
引用:https://www.weblio.jp/セラピスト 2018.10.23

英語のセラピストはかなり広い範囲で使われているのに対して、日本語の「セラピスト」という仕事内容は精神的な面で悩みや不調がある人に対して、回復や解決の助けをする人という解釈です。

何だか、ややこしい表現に聞こえますが、これも日本の法律に則っているためです。今の所「セラピスト」のほとんどは日本では「自由業」に当たります。

なので、セラピストがお客さんに「ここを治していきましょう!」などという伝え方をすることは、厳密に言えば禁止(ルール違反)だと言えます。

セラピストと名乗る限り、「治療」や「診察」という表現や、「マッサージ」という言葉を使って求人・看板・メニュー・チラシなどWEBでもどこでも掲げていはいけません。

最近「マッサージセラピスト」という言葉を聞かなくなったのも、医療や美容に関する政府のパトロールが厳しくなっているからです。(参考:整体院も広告規制が!? 「改正医療広告ガイドライン」における2つの注意点

では、整体師もセラピストと言えるのでしょうか?

整体師は日本生まれの「治療家」

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私は整体師なのですが、これを機会に今、検索で「整体師」はどんな意味や概念になっているのか、あえて、言葉の意味を調べてみます。

ウィキペディアで「整体」を調べてみると次のように出てきます。

整体(せいたい)とは、日本語では主に手技を用いた民間療法、代替医療を指す。日本語としては、大正時代に用いられるようになった用語で、アメリカで誕生したカイロプラクティック・オステオパシー・スポンディロセラピーなどと日本古来の手技療法と組み合わせたものを、「整体」や「指圧」と名付けたのが始まりのようである[1]。現在、俗に用いられる意味では、カイロプラクティック(脊椎指圧療法[2])に似た骨格の矯正(主に脊椎)を目的とした手技療法を指して使われることが多い[3]。脊椎・骨盤・肩甲骨・四肢(上肢・下肢)など、からだ全体の骨格や関節の歪み・ズレの矯正、骨格筋の調整などを、手足を使った手技と補助道具で行う技術およびその行為[要出典]を指しているという意見もある。ー出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

「整体」というのはアメリカのカイロプラクティックやオステオパシーなどの「手業による民間療法」と日本古来の「手業療法」が組み合わさり、日本で独自に発展していった治療法です。代替医療と書いてあります。

*代替医療(ダイタイイリョウ)とは西洋医学の欠点を補う、西洋医学以外の医療行為の総称です。

日本で独自に発展してきた主に手業を使うという「治療をする人」というイメージですね。

ですが、整体師もセラピストと同様医師法の法律上、「治療」、「診察」「マッサージ」などの求人・集客・看板表示などで使用禁止です。

念のため、日本語でWeblioの職業図鑑でも調べてみました。

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引用:https://www.weblio.jp/整体師 2018.10.23

指や手を使って患者の体の状態を整える人という表現になっています。

最近では「整体師セラピスト」という言葉が出てきているので、すごく紛らわしいのですが、整体師は正確には「自由業」ではなく「医療類似行為」を行う者と見なされています。

医療類似行為とは

経験知にもとづく人体の賊活原理、反応原理を用いて人体の保護、治癒能力の向上、治療を行うもので、その手段は鍼灸を除き人体に損傷を与えるものであってはならない。

-引用:総務大臣管 日本予防医学行政審議会より

このように規定されています。「人体に損傷を与えるものであってはならない」という考え方は当たり前だと言えますよね。

ちなみに、医療類似行為を行う職種は大きく2つの種類に分けられます。

医療類似行為 1. 法的な資格制度がある職種 2.法的な資格制度がない職種
国家資格 【あはき法】あん摩マッサージ指圧師、
はり師、きゆう師、鍼灸師
【柔道整復師法】柔道整復師
民間資格 整体・カイロプラクティック・オステオパシー等

ここで、微妙なのが2.法的資格制度がない職種の「等」になっている部分です。

免許を要せず届け出もない医業類似行為のことです。法律で定義されているわけでありませんが、判例を元に「疾病の治療又は保健の目的を持ってする行為であって、医師や法令で資格の認められた者が、その業としてする行為以外のもの」とされています。

つまり、治療目的でもいいけれど、医師や国家資格保有者が本来やる業務以外の、自然治癒力を高める様なものが該当しますよということです。

セラピストの資格の種類は?

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最初に述べた様に現在、日本ではセラピストで医療の現場に携わる様な「国家資格」はありません。全て任意の「民間資格」です。

医療類似行為にも当てはまる様な整体師と類似しているセラピストの種類を以下にリストアップしてみました。参考にしてみてください。

整体師と似ているセラピストの種類一覧

ざっと、今国内で人気の整体師系セラピストのお仕事を挙げてみますと以下の様なものがあります。

  • アロマセラピスト
  • リラクゼーションセラピスト
  • ボディケアセラピスト
  • ハンドケアセラピスト
  • リンパセラピスト
  • スポーツセラピスト

などです。

整体師も資格はないの?

セラピストにしても、整体師にしても資格は必ずしも持っていなくてはいけないというわけではありません。(参考記事:整体師になるにはどんな免許や資格が必要なのか?が2分で分かる!

セラピストが民間資格を持つメリット

しかし、任意でも資格を持つことで得られるメリットをあげてみました。

  1. お客様に安心してもらえる
  2. 技術向上により自信が付く
  3. 雇用型で働く場合は給料や待遇がよくなることがある

1つ目の「安心」はやはり「資格」を持っているとそれだけで、人はそれなりに真剣にお金も時間も投資してその分野について学んできたのだなということで「安心してお任せしよう」と思ってくれます。

自分自身もより自信を持ってお客さんに向き合えます。条件は雇用主によって様々ですが、より良い条件で働くことも可能です。

以上のことを踏まえても、資格の取得はおすすめです。

まとめ

セラピストも整体師も言葉の元々のルーツから考えると「治療に携わる」お仕事であることがわかります。

しかし、今の日本の医療に関する法律上、お客さんにどの様な目的で接すべきかはっきりと理解しておかなければいけません。セラピストは基本的に「自由業」でその目的は「リラクゼーション」ということです。

整体師は技術レベルや働き方によって「リラクゼーション」と「治療」が目的が2つに分かれます。ただし、セラピストと同様、国家資格保持者ではないのでお客様との会話やメニュー表示に人材募集などの際には注意が必要です。

時代のニーズやあなたの得意とするもの、生活環境などを考慮しつつ、あなたの仕事選びや職業に対する正しい理解が深まれば幸いです。

●参考サイト

「医師法」第十七条-電子政府総合窓口e-GOVより,  あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等