整体師として仕事をしていく上では、どんな働き方があるのかを知り、自分が理想とする働き方を知ることが重要なポイントになります。働き方を決めることは、自分の整体師としてのあり方を決めることに繋がっていくからです。

整体師の働き方は、主に2種類あります。

  1. 独立開業する
  2. 既存の整体院・治療院で雇われて働く

今回は、上記2種類の働き方についてメリット・デメリットも交えながら詳しく解説していきます。

独立開業する場合

最初に独立開業して整体師として働く場合について解説します。

一般的に、個人事業主として開業する場合には開業届を提出したり、「株式会社」等を設立する場合には登記をする必要があります。

しかし、整体院を開業する場合に必要な手続きは「不動産会社と店舗契約する」ことが最重要項目です。他の機関に開業届を提出する必要はありません。

続いて、開業のメリットとデメリットについてお伝えします。

独立開業する場合のメリット

  1. 資格不要
  2. 独自の施術を追求できる
  3. 頑張った分だけ収入につながりやすい

以上3つが整体師として独立開業するメリットです。

メリット1:独立開業でも資格不要

整体師として独立開業する場合でも資格は必要ありません。(詳しくは整体師になるにはどんな免許や資格が必要なのか?が2分で分かる!をご覧ください。)

ただし、専門家として知識と技術を身につけることは必要です。資格を持っていることで、お客様に安心と信頼を与えることにもつながります。

メリット2:独自の施術を追求できる

雇われて整体師として働く場合は、就職先の院の治療方針に従う必要があります。雇われの身のため、基本的に院長や店長など、店のトップのやり方に逆らうことはできません。

しかし、開業することで自ら治療方針を組み立てることができます。あなたが、自分の治療方針を貫きたいと考えているのであれば、開業することでストレスなく働くことができるでしょう。

メリット3:がんばった分だけ収入につながりやすい

雇われて働く場合は、時給・月給という形で給料をもらうことになります。

整体師の給料は、一般企業の平均よりも低いのが特徴です。雇われて働く場合、収入が大幅に上がることはあまり期待できないのが現状です。

しかし、独立開業することで収入アップを実現させることが可能です。開業したから必ず成功するわけではありませんが、がんばった分だけ成果として現れます。

「整体師の給料は安い? 求人538件の平均収入と働き方別参考収入まとめ」でも整体師の給料について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

独立開業する場合のデメリット

  1. 集客できずに廃業に追い込まれる
  2. 経営が安定するまでの生活資金を蓄えておく必要がある

これが、開業する場合のデメリットです。

デメリット1:集客できずに廃業に追い込まれる

独立開業後に経営を安定させるためには、次の2つが必要です。

  1. リピーターを獲得するための戦略
  2. 新規顧客を獲得するための戦略

それらの戦略を何も考えなかった場合は、集客できずに廃業に追い込まれます。何もせずに看板だけ出してもお客様は来店してくれません。

  • 広告を掲載する
  • チラシを配る
  • ホームページを作る
  • SNSを活用する

など、集客方法を工夫しましょう。

当サイトのメルマガでも、集客経営力アップについての情報を発信していますので是非活用してください。

デメリット2:経営が安定するまでの生活資金を蓄えておく必要がある

特に開業後1年間は、集客がうまくいかない時期です。生活水準がさがり、貯金を切り崩して生活費や経費に充てることになります。

最低でも、開業後1年分の生活費を蓄えておくなど、十分な対策が必要になります。

既存の整体院・治療院で雇われて働く

雇われて整体師として働く場合について詳しく解説していきます。

整体師の雇用形態と特徴

整体院の雇用形態には3つのパターンがあります。

  1. アルバイト
  2. 正社員
  3. 店長

それぞれの特徴をもう少し詳しく解説します。

パターン1:アルバイトの特徴

  • 時給制(1,000円前後)
  • インセンティブ(歩合給)がつく場合もある
  • 施術の早さと正確さを求められる
  • 正社員登用の誘いがある場合もある

パターン2:正社員の特徴

  • 給与は17~20万円程度
  • 社会保険適用
  • アルバイトよりも労働時間が長い
  • たくさんの経験を積むことができる
  • 店長昇進の可能性あり

パターン3:店長の特徴

  • 給料は一般社員と変わらない
  • 2~3万円の手当てがつく
  • 事務作業が増える
  • スタッフ管理能力が必要
  • 正社員より労働時間が長い(経理・お金の管理・求人・新規オープンの準備を任されることがある)

以上が整体師の雇用形態と特徴です。次に、雇われて働く場合のメリットとデメリットについてお伝えします。

雇われて働くメリット

雇われて働くメリットは、現場で経験を積めることです。整体師は、「資格さえ持っていればお客さんが満足してくれる仕事」ではなく、経験を積むことにより成長できる職業です。

整体学校等を卒業後、いきなり開業する人がいますが、あまりお勧めできる方法ではありません。将来的に独立開業を目指す人であっても、まずは雇われて施術経験を積むことは大きなメリットになります。

雇われて働くデメリット

収入的に将来性を感じられないことがデメリットです。繰り返しになりますが、整体師の給料は一般企業の会社員に比べると低く、大幅な昇給も見込めないのが現状です。

  • 整体院でトップの成績になる
  • 付属院の店長になる

このような目標を持っていても、給料が大幅に上がる可能性は低いでしょう。

就職することで安心感は得られますが、そのまま働き続けることに将来性を見いだせず、独立開業する覚悟を持てなかった場合は、整体業界から去っていく人もいます。

結婚、出産、マイホーム購入などの人生設計を立てたとしても、サラリーマン整体師としての収入では将来性がないため、最終的には開業を目指さなければ、いずれどこかで行き詰まってしまうでしょう。

整体師の求人数は多いのか

整体師として活躍できる、整体院・治療院・セラピスト関連の職場は、常に人材を募集しています。高い給料を望まなければ就職に困ることはないでしょう。

整体師・セラピスト専門求人サイト【JOBNOTE(ジョブノート)】で、4559件の求人が募集されているのを見ても、求人数は多いと言えます(2018年8月17日現在の求人数)

整体師の求人数が多い理由

規模が大きい店舗では、1日に数十人〜数百人のお客さんを施術するスタッフが必要になります。過酷な労働になるため、常に新しい人手を必要としており、必然的に求人数も増えます。

求人広告を出していない整体院も多い

気になる整体院や治療院がある場合には、店舗入口に「スタッフ募集」の張り紙がされていないかを確認し、直接問い合わせて見ましょう。

整体専門学校が就職を斡旋(あっせん)してくれる

整体学校に通って民間資格を取得する場合は、卒業前に提携している整体院への就職を斡旋してくれます。

「就職率100%」を謳う整体学校もあるため、卒業する頃には就職が決まっているケースが多いです。整体専門学校だけにあるメリットを活用し就職するのも一つの方法です。

整体院にもブラック企業は存在する?

ブラック企業問題は整体院も例外ではありません。

  • 面接時には聞いていなかった労働時間の長さ
  • 「朝礼」という名の開店準備(無償)
  • 閉店後に「研修」という名目で先輩のマッサージをさせられる
  • 週変わりで多店舗に出勤

これらが整体業界で耳にする問題です。もちろんその時間が「残業」としてカウントされることはなく、無償労働になります。

「研修」「朝礼」「経験」という言葉はブラック企業がよく使うワードで、無償労働を断りにくくさせるための言葉です。

ブラック企業を見抜く方法

面接時に、勤務時間や労働条件をしっかり確認しましょう。求人広告はあくまでも参考資料であり、募集案内に書かれてある内容は変わる可能性があるという認識を持ってください。

面接者の口から「研修」「朝礼」「経験」というワードがでた場合は、具体的な内容を確認しておきましょう。「それは具体的にどういうことでしょうか?」という質問が効果的です。

具体的な質問に対しての回答が、相手先の労働環境を知る1つの手がかりになります。

  • みんなのため
  • 整体院を支えてもらうため
  • 君の成長のため

など。曖昧(あいまい)であった場合には、面接では告げられていない “風習” があると思ったほうが良いでしょう。

採用されたときは、勤務時間や休日、給料など働き方について記載された雇用契約書をもらいましょう。

無償労働を含め、出勤した時間と退社した時間をメモしておくことで、トラブル時の対応に役立つこともあります。

求人の選び方

がんばって整体師になったからには、ブラック企業ではなく、5年後、10年後も働き続けられる職場へ就職したいですよね。

良質な求人を探すためのポイントは2つあります。

  1. 院長(経営者)の顔・言葉が求人媒体に掲載されている
  2. 給与条件が明確に掲載されている

求人を探す時は、この2つのポイントが掲載されているどうかを確認してください。

ポイント1:院長(経営者)の顔・言葉が求人媒体に掲載されている

掲載スペースの関係で顔写真がないことはありますが最低でも院長(経営者)の考え方やビジョンが垣間見えるものであることが重要です。

スタッフ任せにした曖昧(あいまい)な求人広告では、採用するスタッフを代替要員と考えている場合もあり注意が必要です。

ポイント2:給与条件が明確に掲載されていること

労働条件を曖昧(あいまい)に表現している求人広告は要注意です。

「月給25万円以上も可能」

このような表現を使っている求人の場合、面接に行くと全く違う条件を提示されることがあります。

基本的に求人広告に書かれている内容は参考資料と考えるのが妥当です。

一般企業の場合、必ずしも掲載内容通りの労働条件になるのではないため、面接時には必ず詳細を確認するようにしてください。

曖昧(あいまい)な求人広告が多い中、労働条件が分かりやすく記載してある求人は、本気でスタッフを探している証拠であり、人に対するサービス精神にあふれた院であることが伺えます。

転職のしやすさはどうか

整体師は転職しやすい職業です。

特に、経験のある整体師を受けて入れてくれる整体院や治療院はたくさんあります。

募集案内に「年齢制限」を設けている求人もありますが、整体師として現場で働いた経験が長い場合は応募できることもあります。

気になる求人があれば、積極的に問い合わせてみてください。

まとめ

今回は、整体師の働き方2種類について詳しく解説しました。

  1. 独立開業する場合
  2. 既存の整体院・治療院で雇われて働く場合

いずれの場合もメリットとデメリットがあります。

  • どんな働き方をしたいのか?
  • どのくらい収入が欲しいのか?
  • どんな施術を身に付けたいのか?
  • どんな人の役に立ちたいのか?
  • 将来は独立したいのか?そうではないのか?

あなた自身が働くうえで譲れない条件を書きだすことから、始めてみてください。そして、あなたの希望に合った就職を目指してくださいね。

この記事があなたの参考になれば幸いです。