「整体師になるために国家資格を取りたい」と考える人は多いです。もしかするとあなたも同じような気持ちかもしれませんね。

整体師になるために資格は必要ありません。しかし、資格があるとライバルに差をつけることができます。ここでは、整体師の強みともいえる4種類の国家資格の合格率と難易度について過去9年分のデータをまとめてみました。

国家資格の取得を考えた際の参考にしてください。

ライバルと差がつく4つの国家資格

整体師として仕事をするために役立つ国家資格は次の4つです。

  1. 柔道整復師
  2. 鍼灸師(しんきゅうし)
  3. あん摩マッサージ指圧師
  4. 理学療法士

上記4つ以外の資格は、国家資格ではありません。

「カイロプラクター」「健康運動指導士」「◯◯セラピスト」などは民間資格であり、国家資格ではありません。間違えないようにしてくださいね。

では、4つの国家資格の難易度と合格率を見ていきましょう。

国家資格【柔道整復師】の合格率と難易度

柔道整復師になるには、高校卒業後に、柔道整復師の資格が取れる学校に通う必要があります。詳しくは次の通りです。

  • 文部科学大臣が指定した学校
  • 都道府県知事が指定した養成施設(いわゆる専門学校)

条件を満たした学校に3年間通学し、柔道整復師に関する知識及び技能を修得します。その後、国家試験に合格しなければいけません。

2-1. 柔道整復師試験の概要

試験は毎年1回、下記の場所で行われており、受験手数料が16,500円かかります。

柔道整復師国家試験|開催地

  • 北海道
  • 宮城県
  • 東京都
  • 石川県
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 広島県
  • 香川県
  • 福岡県
  • 沖縄県

11科目の試験科目

  1. 解剖学
  2. 生理学
  3. 運動学
  4. 病理学概論
  5. 衛生学・公衆衛生学
  6. 一般臨床医学
  7. 外科学概論
  8. 整形外科学
  9. リハビリテーション医学
  10. 柔道整復理論
  11. 関係法規

合格基準

平成29年度に行われた第26回の試験では次のような基準で合格が決まっています。

問題の種類 配点 問題数 合格基準
 必修問題  1問1点 全30問  24点以上(80%以上)
 一般問題 全200問 12点以上(60%以上)

※必修問題、一般問題のいずれも合格基準を満たしている場合が合格です。

柔道整復師の合格率

過去9年分の合格率をまとめています。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成21年度 7,156人 5,570人 77.8%
平成22年度 6,625人 4,592人 69.3%
平成23年度 6,754人 5,227人 77.4%
平成24年度 6,503人 4,438人 68.2%
平成25年度 7,102人 5,349人 75.3%
平成26年度 6,858人 4,503人 65.7%
平成27年度 7,115人 4,582人 64.4%
平成28年度 6,727人 4,274人 63.5%
平成29年度 6,321人 3,690人 58.4%

公益財団法人柔道整復研修試験財団 “柔道整復師国家試験の実施”より一部抜粋

柔道整復師の難易度

平成4年度に行われた第1回の試験では、高額な学費などを理由に柔道整復師を目指す人が少なく、国家資格の合格率は90%前後でした。

しかし回を重ねるごとに、受験者数は増加し、ここ数年は6,500人~7,000人とかなり多くの人が受験しています。

  • 高齢化社会を見据えて
  • 身体的なケアややメンタルヘルスを仕事にしたい

このように考える人が多く、整体の必要性を感じている人が増えた結果と言えるでしょう。

平成25年度の試験を境に合格率が下がっていることを考えると、以前に比べると難易度が上がっているとみて間違いありません。

柔道整復師を目指すのであれば、知識・技術共にしっかりと身につけ、学ぶ努力が必要になります。

3. 国家資格【鍼灸師(しんきゅうし)】の合格率と難易度

鍼灸師になるには、高校卒業後に、鍼灸師の資格が取れる学校に通う必要があります。詳しくは次の通りです。

  • 文部科学大臣が指定した学校
  • 都道府県知事が指定した養成施設(いわゆる専門学校)

条件を満たした学校に3年間通学し、鍼灸師に関する知識及び技能を修得します。その後、国家試験に合格しなければいけません。

鍼灸師試験の概要

鍼灸師の国家試験は、国から指定試験機関として指定された公益財団法人東洋療法研修試験財団が行っています。

試験は、はり師ときゅう師それぞれ分けて、毎年1回、下記の場所で行われています。

受験手数料は各試験ごとに11,600円が必要です。

鍼灸師国家試験|開催地

  • 北海道
  • 宮城県
  • 東京都
  • 新潟県
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 広島県
  • 香川県
  • 福岡県
  • 鹿児島県
  • 沖縄県

13科目の試験科目

  1. 医療概論(医学史を除く)
  2. 衛生学・公衆衛生学
  3. 関係法規
  4. 解剖学
  5. 生理学
  6. 病理学概論
  7. 臨床医学総論
  8. 臨床医学各論
  9. リハビリテーション医学
  10. 東洋医学概論
  11. 経絡経穴概論
  12. はり又はきゅう理論
  13. 東洋医学臨床論

※12の「はり又はきゅう理論」に関しては、はり師の試験では「はり」のみ、きゅう師の試験では「きゅう」のみ行われます。

※はり師の試験ときゅう師の試験を同時に受験する場合は、試験申込時に申請することにより共通科目が免除されます。

合格基準

受験方法 問題数 合格基準
はり師 きゅう師 同時受験 160問 96点以上で合格
はり師のみ受験 150問 90点以上で合格
きゅう師のみ受験 150問 90点以上で合格

※1問1点で採点

鍼灸師(しんきゅうし)の合格率

はり師、きゅう師それぞれの合格率を見ていきましょう。

はり師の合格率(過去9年分)

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成21年度 5,283人 3,990人 75.5%
平成22年度 5,483人 4,553人 83.0%
平成23年度 5,015人 3,651人 72.8%
平成24年度 5,157人 4,005人 77.7%
平成25年度 5,036人 3,892人 77.3%
平成26年度 4,976人 3,808人 76.5%
平成27年度 4,775人 3,504人 73.4%
平成28年度 4,527人 3,032人 67.0%
平成29年度 4,622人 2,667人 57.7%

公益財団法人東洋療法研修試験財団 “過去の受験者推移”より一部抜粋

きゅう師の合格率(過去9年分)

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成21年度 5,262人 3,939人 74.9%
平成22年度 5,499人 4,595人 83.6%
平成23年度 4,996人 3,498人 70.0%
平成24年度 5,235人 4,138人 79.0%
平成25年度 4,998人 3,946人 79.0%
平成26年度 4,893人 3,773人 77.1%
平成27年度 4,732人 3,550人 75.0%
平成28年度 4,443人 3,010人 67.7%
平成29年度 4,555人 2,845人 62.5%

公益財団法人東洋療法研修試験財団 “過去の受験者推移”より一部抜粋

鍼灸師の難易度

柔道整復師と比較すると、受験者数が少ないのが特徴です。はり師・きゅう師共に、年々合格率が下がっています。特に、はり師に関しては最新の試験の合格率が60%を下回っています。

合格率が下がっている理由は、次の2つが考えられます。

  • 鍼灸師が増え過ぎたため、試験の難易度が上がった
  • 鍼灸の法規に変更があり過去問が参考にならない

あなたが本気で鍼灸師になりたいと考えているのであれば、学校選びも慎重に行うことが大切です。最新のカリキュラムに沿った知識と実践的な技能が学べる学校を選びましょう。

4.国家資格【あん摩マッサージ指圧師】の合格率と難易度

あん摩マッサージ指圧師になるには、高校卒業後に、あん摩マッサージ師の資格が取れる学校に通う必要があります。詳しくは次の通りです。

  • 文部科学大臣が指定した学校
  • 都道府県知事が指定した養成施設(いわゆる専門学校)

条件を満たした学校に3年間通学し、あん摩マッサージ師に関する知識及び技能を修得します。その後、国家試験に合格しなければいけません。

あん摩マッサージ指圧師試験の概要

あん摩マッサージ指圧師の国家試験は、国から指定試験機関として指定された公益財団法人東洋療法研修試験財団が行っています。

試験は毎年1回、下記の場所で行われており、受験手数料は11,600円が必要です。

鍼灸師国家試験|開催地

  • 宮城県
  • 東京都
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 香川県
  • 鹿児島県

他の試験と比べると、受験できる場所が限られています。

13科目の試験科目

  1. 医療概論(医学史を除く)
  2. 衛生学・公衆衛生学
  3. 関係法規
  4. 解剖学
  5. 生理学
  6. 病理学概論
  7. 臨床医学総論
  8. 臨床医学各論
  9. リハビリテーション医学
  10. 東洋医学概論
  11. 経絡経穴概論
  12. あん摩マッサージ指圧理論
  13. 東洋医学臨床論

合格基準

問題は150問出題されます。

1問1点で採点され、[keikou]90点以上で合格[/keikou]です。

あん摩指圧マッサージ師の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成21年度 1,839人 1,563人 85.0%
平成22年度 1,849人 1,609人 87.0%
平成23年度 1,777人 1,495人 84.1%
平成24年度 1,835人 1,584人 86.3%
平成25年度 1,747人 1,466人 83.9%
平成26年度 1,792人 1,549人 86.4%
平成27年度 1,687人 1,422人 84.3%
平成28年度 1,601人 1,354人 84.6%
平成29年度 1,584人 1,315人 83.0%

公益財団法人東洋療法研修試験財団 “過去の受験者推移”より一部抜粋

あん摩指圧マッサージ師の難易度

あん摩指圧マッサージ師の国家試験は、他の試験に比べると極端に受験者数が少ないのが特徴です。合格率は常に80%を超えているため、比較的取得しやすい資格と言えます。

受験者数が少ない背景には、あん摩マッサージ指圧師を養成する学校が少ないためです。

公益社団法人東洋療法学校協会に加盟している44校のうち、あん摩マッサージ指圧師の知識と技能が学べる学校は21校です。

あん摩マッサージ指圧師の養成校は、鍼灸師の養成校の半数以下のため、目指したくてもめざせる環境が少ないのが現状といえます。

国家資格【理学療法士】の合格率と難易度

理学療法士になるには、高校卒業後に、理学療法士の資格が取れる学校に通う必要があります。詳しくは次の通りです。

  • 4年生大学
  • 3年生短期大学
  • 専門学校(3年制・4年制)
  • 特別支援学校(視覚障害者対象)

条件を満たした学校に3年間通学し、理学療法士に関する知識及び技能を修得します。その後、国家試験に合格しなければいけません。

資格取得後、より専門的な知識を身につけたい人、研究職をめざす人は大学院に通います。

理学療法士2日試験の概要

試験は毎年1回、2日間に渡り行われます。内容は次の3つです。

  1. 筆記試験
  2. 口述試験
  3. 実技試験

受験手数料は10,100円です。

理学療法士国家試験|開催地

【筆記試験】

  • 北海道
  • 宮城県
  • 東京都
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 香川県
  • 福岡県
  • 沖縄県

【口述試験及び実技試験】

  • 東京都

試験内容

【筆記試験 一般問題】

  • 解剖学
  • 生理学
  • 運動学
  • 病理学概論
  • 臨床心理学
  • リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)
  • 臨床医学大要(人間発達学を含む)
  • 理学療法

【筆記試験 実地問題】

  • 運動学
  • 臨床心理学
  • リハビリテーション医学
  • 臨床医学大要(人間発達学を含む)
  • 理学療法

【口述試験及び実技試験】

※重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題の代わりに以下の科目について行われています。

  • 運動学
  • 臨床心理学
  • リハビリテーション医学
  • 臨床医学大要(人間発達学を含む)
  • 理学療法

合格基準

平成29年度に行われた、第53回の試験の合格基準は下記の通りです。

問題 出題数 採点方法 合格基準
一般問題 160問 1問1点 下記参照
実地問題 38問 1問3点 40点以上

※実地問題で40点以上獲得 + 一般問題の得点と合わせて165点以上獲得した場合に合格

理学療法士の合格率

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成21年度 9,835人 9,112人 92.6%
平成22年度 10,416人 7,736人 74.3%
平成23年度 11,956人 9,850人 82.4%
平成24年度 11,391人 10,104人 88.7%
平成25年度 11,129人 9,315人 83.7%
平成26年度 12,035人 9,952人 82.7%
平成27年度 12,515人 9,272人 74.1%
平成28年度 13,719人 12,388人 90.3%
平成29年度 12,148人 9,885人 81.4%

公益社団法人日本理学療法士協会 “統計情報「理学療法士国家試験合格者の推移」”より一部抜粋

理学療法士の難易度

理学療法士は、今回紹介している4つの国家資格の中で、受験者数・合格者数が一番多い資格です。

受験者数・合格者数が多い理由は、単に理学療法士の養成校の多さに比例していると言えます。

公益社団法人日本理学療法士協会に掲載されている、理学療法士の養成校は、全国で261校(4年制大学や3年制専門学校合わせて)あります。

あん摩マッサージ指圧師の21校とは比較できないほど、学べる環境が整った資格です。

合格率は、70%台もあれば90%を超えるときもあり、開催年度により問題の難易度に違いがあるようです。

平成27年度に開催された第51回の国家試験から出題基準が変更されたことも合格率に影響しているようです。

当時、6年ぶりに見直しが行われ、教育・医療水準をふまえて、より幅広い分野が出題範囲になりました。

いずれにしても、知識と技能をしっかりと身につけ、対策を万全にしたうえで試験に臨みましょう。

まとめ

今回は、整体師が持っているとライバルと差がつく4つの国家資格の合格率と難易度についてまとめました。

  1. 柔道整復師
  2. 鍼灸師
  3. あん摩マッサージ指圧師
  4. 理学療法士

どの国家試験も、著しく難しい試験ではありません。

少なくとも、養成校のカリキュラムでしっかりと学び、知識と技能を身につけておけば合格率は確実に上がります。

整体業界は、ニーズもありますが、希望者も多いためライバルが多い職種になります。

資格はなくても整体師になることは可能ですが、ライバルに差をつけるための手段の一つとして国家資格の取得も視野に入れてみてください。

この記事があなたのお役に立ては幸いです。